『午睡中に決められたチェックはしているけど、SIDSの事はあんまりわからない』
『SIDSは怖いけど、具体的にどんな対策をすればいいの?』
そんなふうに思っている保育士さんは多いのではないでしょうか。
今回の記事ではSIDSについて解説します。

この記事は次のような人におすすめ!
- なぜSIDSがおこるのか知りたい。
- 保育園でのSIDSの予防対策を知りたい。
- SIDSがおこってしまった時、どうすればいいのかわからない。
SIDSのことを知って、ポイントを押さえた午睡チェックをすれば午睡中の事故のリスクがへります。
子どもの命を守るためにできることを知って、SIDS対策をアップデートしましょう!
SIDS(乳幼児突然死症候群)を知ろう
まずSIDSとは何かを知っておきましょう。
それまで、すくすく育っていた赤ちゃんが、ある日突然、眠っている間に亡くなってしまう「乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)」という病気があります。
政府広報オンラインより
赤ちゃんが突然亡くなることは、生まれつきの病気や感染症、窒息事故などによっても起こることがあります。しかし、SIDSはそれらと異なり、何の予兆や既往歴もない赤ちゃんが睡眠中に突然死に至る、原因の分からない病気です。
日本でのSIDSの発生数は減少傾向にあるものの、令和4年(2022)年は47人の乳幼児がSIDSで亡くなっており、1歳未満の赤ちゃんの死亡原因としては第4位となっています。
発症するのは、乳児期の赤ちゃんに多いですが、まれに1歳以上でも発症することがあります。また、多くが寒い時期に発生しています。

SIDSで年間数名の乳幼児が亡くなっています。
すごくこわいですよね。
SIDSの原因とは?
慣れない環境へのストレス
SIDSの14%が保育園の登園初日におこっています。
さらに、登園から1週間以内に全体の30%が発生。
特に保育園へ登園開始から1週間以内にSIDSがおこる危険度は1~2か月後の4倍に上昇します。
乳幼児は環境の変化や慣れない場所への適応が苦手です。
生まれて初めてママから離れて過ごす心理的なストレスと疲労などの身体的なストレスが重なりSIDSのリスクが高まります。
遺伝や妊娠中の喫煙など乳児の内的要因
遺伝や妊娠中の環境もSIDSのリスクとされています。
保育園のSIDS対策とは?
保育園でおこなっているSIDS対策を紹介します。
※全ての園で同じように行っているわけではありません。
ブレスチェック
午睡中の子ども達の呼吸状態を確認します。
- 0歳児は5分おき
- 1~2歳児は10分おき
年齢によって時間の間隔が決まっています。
確認方法は目で見るだけではなく、胸や腕など体にそっと触れて子どもの様子を観察します。
寝ている子どもを手で触ることは子どもに刺激をあたえ、SIDS予防にもつながります。
体の向きを上向きになおす
ブレスチェックと同じタイミングで体の向きもなおします。
うつ伏せ、横向き寝はNG。
必ず上向きで寝るようにします。
うつ伏せ、横向き寝はなぜいけないの?
うつぶせ、横向き寝は子どもがスムーズな呼吸をしづらくなります。
さらに再呼吸(すでに吸った空気を再度吸うこと)を引き起こしやすく、午睡中の酸素の供給の妨げになりSIDSのリスクがあがります。

ブレスチェックと体位の確認はとっても大切。
だから時間や担当者など、毎日内容を記録しているよ!
モニターで呼吸チェック
最近はセンサーで子どもの様子をチェックして、危険な状態をお知らせしてくれる補助的なシステムを導入している園もあります。
午睡中は保育士たちの休憩や他の作業で人手がうすくなる時間。
5分に1回の呼吸確認や体の向きをなおすことで子どもが目を覚まし、再度寝かしつけが必要になることが多々あり。

正直すごく大変ですよね。
モニターを取り入れる保育園が増えて、子ども達をより安全に見守ることができる環境が整うとうれしいです。
部屋を子どもだけにしない
午睡中は必ず職員が子どものそばで見守ります。
不測の事態にもすばやい対応ができますね。
子どもに安心感をあたえ、ストレスをへらす
健康状態、情緒面で不安なことがないか保護者と連携をとります。
毎日の子どもの状態を保育士が理解しておくことで、子どもが保育園でも安心して過ごせるようにします。
適切な室温とお布団を用意する
過度な暖房、冷房や、暑い環境はSIDSのリスクを高めます。
室温の管理をこまめに行います。
柔らかすぎる敷布団はNGです。
適度に硬さのある敷布団で乳幼児の窒息を予防する事ができます。
午睡中も部屋を明るくする
私の働く保育園では午睡中も子ども達の部屋を明るくしています。
顔色が見える事で、子どもの異変に気が付きやすいですね。
SIDSが起きてしまった時の具体的な対応方法を解説
保育園のSIDS対策を紹介しましたが、万が一SIDSが起きてしまったらどのように対応すればよいでしょうか。
SIDSがおきたときの具体的な対応方法
- 救急車を呼ぶ
- 他の保育士と連携して心肺蘇生などの応急手当をする
- 保護者へ連絡する
- 他の子どもの保育をいつもどうりおこなう
事故が起きた時の流れは普段から研修を行っておきます。
園に働く人全員が対応できるような環境づくりができているとよいですね。
それでは1つずつ解説していきます。
救急車をよぶ
実際に事故が起きると、誰でもとってもあわててしまうはず。
電話の近くに保育園の住所や電話番号、消防に伝える内容をまとめた緊急連絡票を用意しておくとスムーズです。
他の保育士と連携して心肺蘇生などの応急手当てをする
他の保育士が休憩などで部屋にいなかったときは部屋の外に呼びにいかない。
内線電話などで応援を呼びます。
絶対に体調が悪い子どものそばから離れないでください。
応急手当の方法がわからない時は、救急に電話したときに指導を受けましょう。
電話をハンズフリーにしたまま、口頭で指導をうけながら手当することもできます。
保護者へ連絡する
子どもの対応のめどがついたら、保護者へ連絡です。
園長などに指示をうけてから電話します。
他の子どもの保育をいつもどうりおこなう
他の子どもの保育をしっかり行う事も大切ですね。
新たなケガや事故につながらないように、おちついて保育をつづけます。